こんにちは!
ブタ子です。
今回は、TOKYO MX『5時に夢中!』様より、「肥溜めとは?」とのご質問を頂きましたので、急遽書かせて頂きます。
そうですよね・・・
片田舎ならともかく、肥溜めなんて現代の子ども達、見た事ないですよね^^
ちなみに、落ちた子は筆者も見た事ありません。
現在、50代前後の方になると、学校帰りに落ちた!とかいう方もおられると思います。
そもそも、肥溜めとはどういうものなのでしょうか?
Contents
肥溜めとは?
オブラートに包まず、はっきり言います。
人糞を溜めたものです。
昔は、今のように水洗トイレなどではありませんから、
「ボットン便所」と呼ばれる、トイレの下に大きな水槽(バスタブみたいなサイズですね)や、壺が置いてあり、
人々が用を足すと、そこにオシッコやウ●コが落ちていく仕組みでした。
水槽には戸外の地面の辺りに、蓋が付いており、組み出せるようになっています。
しかし家族で毎日用を足せば、それらは一杯になってしまいますよね?
すると、その家のお父さんやお爺ちゃん達が、大きなひしゃくを持って外に出て行って、戸外の蓋を開け、汚物をくみ出すのです。
これがなかなかの力仕事なんですよ!
匂いも付いてしまいますし、仕事の後は、すぐにお風呂に入らないといけませんね!
汲みだした汚物は、桶やタンクに移され運ばれます。
こちらはもう活躍していない人糞を運んでいたタンク。
ほこりまみれ・・・。
かつては、農家のおじさんと一緒に頑張ったんだ!
そして、どこの畑の隅にもありましたね、
「肥溜め」と呼ばれる、穴や壺、小さめの井戸みたいなものに移し替えられます。
ちなみに肥溜めは、いつも糞便ばかりを入れるのではなく、それぞれの家庭から生活排水などが流れてくる仕組みのものもあったそうで、地域で当然のように使用されていたようですよ。
また、苔(川のコンクリートの淵に、びっしりくっついていますね!)や川藻、刈り取ったばかりの雑草を入れたり、米ぬかなどを投入するお家もあり、
もはやどんな発酵が行われているのかは、おでん屋さんの『秘伝のタレ』並みに、謎ではありますが、それによって野菜の育ちが違う事から、おそらく栄養分はすごいのでしょうね!
穴を掘った中に、直接放り込む仕組みの肥溜めもあるにはありましたが、
それらは生活に使う井戸などとは遠く離れた位置に設置されていました。
肥溜めの中の液体は、畑で野菜を作る際の肥料にされるわけですが、その臭いまま使うのではなく、
そのままそこに一定期間置いておくと、自然発酵が起こり、匂いがしなくなり、かなり上質の肥料として使えるようになります。
元のウ●コなどとは全く別の物体に変化していますからね!
ただの●ソをまき散らしていると思ったら大間違いですよ!(笑)
当時は、臭いまま使っている家もありましたが、
現在ではきちんと決められた処理をすれば、臭いまま使ってもいい事になっていますよ。
「子どもの頃に臭い肥溜めに落ちた!」という方は、発酵・熟成する前の、
ただの「●ソ溜め」の状態のものに落ちてしまったのでしょうね!
災難!
いつ頃からかはわかりませんが、必ず蓋をしなければならない!という時代になり、落っこちる子も居なくなりましたね。
豚を飼うしくみのトイレもあったよ!
ちなみに、それ以外だと、
トイレの下(縁の下みたいな場所ですね)に、豚を飼っており・・・
豚は、「悪食(あくじき)」といって、なんでも食べる動物で、またかなり綺麗好きですので、
人間が用を足すと、上から落ちてくるそれらの汚物も食べてしまうので、そういう仕組みのトイレもありました。
トイレに行って、便器の蓋を取ると、豚が下から顔を出すので、豚を追っ払うのに使う、棒やホウキがいつも置いてあったそうですよ^^
のどかな風景ですね!
肥溜めはどういう条件で作る事ができるの?
現代ではめっきり見ませんが、その理由は・・・
農業では、化学肥料をバンバン使う時代に突入・・・
「人糞肥料は野菜に寄生虫が出る」というステレオタイプのイメージが先行・・・
そもそも農業自体を行う家も少なくなりましたので、自然の流れで肥溜めもめっきり少なくなりました。
「人糞肥料=寄生虫」と思っておられる方、よく調べてみて下さいね!
本当に必ずしもそうでしょうか?
では逆に、現在肥溜めを作ろうと思うと、何が必要なのでしょうか?
肥溜めは、物理的には以下のような条件で作ることができます。
- 家/近所がくみ取り便所である事
- 畑・農作を持っている・行っている家である事
- 民家と、ある程度距離がある
ひとつひとつ見てみましょう。
まず1です。
「家/近所がくみ取り便所である事」ですが、
まず、くみ出すべき糞便がないと、肥溜めは無意味です。
今は、市町村による、下水道の完備や、浄化水道やタンクなどの設置が義務付けられた地域も多くあると言いますし、
私達が糞便を目にするのなんて、自分が用を足した直後(流す前)と、路上で犬の糞を見る・・・くらいしかないですもんね。
自分の家がボットンでなくても、近所がくみ取り式である場合、昔は定期的に、農家の方がくみ取りに来ていた地域もあるようですよ。
農家じゃないと、ウ●コなんて要らないもんね!
くみ取りをさせてあげるとね、
代わりにお野菜をいくつかくれたりもしていたんだって!
農家じゃないおうちにとっては、
ウ●コも持ってってくれる、
野菜もくれる、で、助かりますもんね。
双方にとって、いいことしかない!
次に2です。
「畑・農作を持っている・行っている家」という事ですが、
何か別の用事に使うのでない限り、糞便なんて誰も要らないもんね!
臭いやら汚いやら・・・って扱いだものね。
最後が3です。
これが一番、近年話題になってるやつね!
要は、肥溜めが所在する地所は、ある程度周囲の民家を離れている・・
もしくは自分の広い畑の中に、ポツンとないと・・・
周囲に迷惑かけちゃいますよね?
運び出す時も、
肥溜めに糞便を移す時も、匂いはするわけですから、
せめて発酵までの、肥溜めの中に入ってる期間は、周囲に迷惑かけないような場所にないといけません。
ある程度、周囲と距離がないといけませんので、かなりの範囲の土地だって持っている必要があるかもしれませんね!
元々の農村地帯に引っ越してきて、臭い臭いはちょっとどうなんだろうと思います。
元々そこらの人々はそれで生活を成り立たせていたのですから、後からきて、それを辞めろ!というのは、なんか違うような気がします。
「いや、先に住んでいようが、後から来ようが、うちは土地を買ったんだ!」とかじゃなく、お互いがお互いの生活とマナーを守ってないとね、農業だけじゃななく、社会はひとつも成り立たないんだ^^
とにもかくにも、
そういったトラブルを避けるためにも、ある程度周囲と距離のある郊外や片田舎が望ましいので、
「これから肥溜め作りに新規参入するぞ!」というちょっと変わった人が居るとするなら、
ハッキリ言って、かなり恵まれた条件でなくては作る事ができません。
楽しい楽しい簡単にできる肥溜めの作り方
準備するもの:
- 大きなひしゃく
- 運び用の桶(肥タゴと言います)、もしくはタンク
- 肥溜めとなる壺
肥溜めの作り方:
- 畑に穴を掘る、もしくは壺を埋め込む
- トイレ用浄化槽から糞便をひしゃくでくみ出し、運び用の桶/タンクに入れる。
タンクは蓋が締まるので、臭くない! - 中身を、肥溜めに移し替える。
タンクは蓋を開けて、少し傾けるだけでどんどん移し替える事ができるので、とても便利だ!
実際の肥溜めを見てみよう!
では、現在は使われていない肥溜めをいくつか見てみたいと思います。
今でこそ、横の道路は整備されていますが、昔はあぜ道に毛が生えたようなものでした。
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現在は、重い蓋がのせてあり、うっかり人間が転んでも、落っこちないようにできている。
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少し蓋をずらしてみると・・・
もう肥溜めとして使うのではなく、水がめになって数十年・・・
肥溜めもウ●コの匂いなど、忘れてしまっただろう・・・
ただの雨水を溜めておいて、渇水などの時、畑に水をやるのに使います。
畑のすぐそばにあるので、とても便利です。
他のも見てみましょう。
ここはまだ、舗装されておらず、あぜ道のままですね。
肥溜めがあるのは、あそこ!
遠くからは見えない。
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傍までいくとわかる。
コンクリートで蓋がされているが、水がめとして使われており、
かつてのような活躍は見せていない様子。
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ちなみにこの手前の畑の持ち主も、もはや肥溜めを、このようにスイレンかな? 水生の植物を大きく育てるのに使っており、肥溜めとしては使っていない様子。
アクティブに現役バリバリの肥溜めを見てみたいもんだぜ!
会社で言うなら、企業戦士だぜ!
人糞、牛糞・馬糞・鶏糞・・・
みんな汚いって思ってるでしょうね^^
けれども、現代のように人が飢えで死ぬことなく、一定量の食べ物をたべられるようになったのは農業の存在が必須です。
その農業をより豊かなものにしたのが、糞肥料です。
本当にxxxx文明、▲▲▲文明って言ってる時代からね!
私達の血と肉には、それらの肥料、野菜、すべてが脈々と受け継がれて、今現在も存在しているわけですから、馬鹿にはできませんよ!