これはしばらくほったらかしで、 勝手に発酵し、完熟したらしい馬糞。 ※ 人糞ではありません(笑) |
こないだブタ子が、下肥(人糞肥料)について調べていたら、こんなやりとりが某相談サイトに繰り広げられていた。
実際の質問の感じから、質問者さんは、まだ学生か、年の若そうな女の人っぽかった。
質問者:
「人糞肥料を使っている人はいますか?
うちは田舎の一軒家なので、肥溜めを作って、畑をやっている。
尿素などが入るためか、スイカなどがよく育ちますよ」
そして、回答やコメントの数々がコチラ↓↓↓
・「後進国でも高温発酵を伴わない人糞の使用は規制されています。
あなたのやっていることは、人類に対する犯罪である事を自覚して下さい。」
・「人糞で育った食物を、知らずに食わされてるとしたら、汚いやら恐ろしいやらで、野菜なんて食えない」
・「昔は無知だから使っていただけ。
今は寄生虫や回虫があるから、人糞は使わないって知らないの?」
・「そうそう、GHQに禁止された。そんな昔に禁止されているのに、いまだに使ってるやつがいるとは」
・「そもそも日本では、人糞の使用は禁止されているはずです。確か公衆衛生法だったかな。」
そして、最後は質問者が「禁止だったのですね、知らなかった。ごめんなさい」と謝って、その質問コーナーは終わっている。
実に興味深いやり取りである。
更に、似たような相談事というカテゴリーに、オバサンっぽい質問者さんより
「近所に、何度言っても屎尿を使うのをやめない農家の爺さんが居て、匂いがひどすぎるので、私が市役所に駆け込み、直談判したが、職員が集まり色々論議した結果、
『法を犯していないから、何も言えない』との理由で、どうもしてもらえなかったので、
次は近所の人達の署名を集める予定だが、常識はないのか、どうしたらいいと思うか」
それに回答する回答やコメントも、1つ目の質問者さんに付いたコメントとほとんど同じ内容で、「禁止されている」とかでした。
いえ、もっと辛辣で
「いつまでも人に迷惑かけて、野良仕事なんてしてんじゃねー! 時代錯誤な。」
「ほんとああいうの困るんですよね、何度注意しても聞いてもらえないのでは、痴呆かなにかという事で、行政に何らかの処置をお願いし、野良仕事ごとやめさせてはどうか」
と、多勢に無勢でムチャクチャな意見が出そろい、放っておいたら爺さんの方がひどい目に遭いそうな勢いだ・・・(笑)
■ひとつひとつ検証してみる■
では実際、順番にひとつずつ、調べられるところまで調べてみようと思う。
まず1つ目。
《後進国でも高温発酵を伴わない人糞の使用は規制されています。
あなたのやっていることは、人類に対する犯罪である事を自覚して下さい。》
というもの。
キツイこと書いてるけど、ほんとかなぁ~?
検証:
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」が施行される規則によると、まず「糞尿の使用方法の制限」に関する第17条で、(わかりやすく書きますね)
「ふん尿は、環境省令で定める基準に合った方法じゃなければ、肥料として使用してはダメ。」とある。
ふんふん。そこまではOK.
では、「環境省令」で定まってる基準って、何なのかな?
13条には、砕いて書くと、こうある。
「17条の規定によって、肥料として糞尿を使用する事ができるのは、市街的形態をなしている区域内だと、以下の通り。
その他の区域だと、生活環境に被害が出てくるおそれがない方法であれば使用できることとする。」
あれ? 雲行きがおかしくなってきましたねf^^
「市街地や込み入った住宅密集地なんかじゃなく、更に何らかの被害がなければ、使える」って書いてない?
逆に、
市街地だったら、以下の使用方法であればOK、とある。
1. 発酵処理して使用する時。
つまり、売り物の鶏糞や、牛糞みたいに、熟成させて、発酵させていること。
2. 乾燥又は焼却して使用するとき。
つまり、乾燥してパラパラになってたり、アフリカの燃料みたいに、糞を焼いている事。
3. 化学処理して使用するとき。
これは化学薬品などを使って、成分を変えたりしてる時も含まれる。
4. 尿のみを分離して使用するとき。
つまりオシッコとウンコを別々にして使用する時。
5. し尿処理施設又はこれに類する動物のふん尿処理施設により処理して使用するとき。
これは市町村なんかにもある施設なんかで、大がかりに処理して、加工させたもの。
6. 十分に覆土して使用するとき。
そのまま使っても、上から土をたくさんかけている場合。
・・・って、え?!
最後、おかしくない?!
この論争のすべてが、解決してしまうじゃないの?!
結局、これといって手を加えないでも、土をかけときゃいいんだもの・・・って思うでしょ?
やってみたことないけど、多分これ、かなり苦痛よ(笑)
まだ1~5の他の作業にした方がいいかもしれない(笑)
理由は、どうやって土に埋めよう・・・ってところですね!
畑に流し入れて、耕運機で耕すだけなら、土をかけたことにはならない。
単に、「かくはんされただけ」っていう状態。
でもって、一ヶ所に大量に埋めたって肥料の意味ないんだから、消去法でそれぞれの場所に埋める事になりますよね?
つまり、適度な(シャベルとかひしゃくとか)サイズのものに、この糞尿を入れて、それぞれの土の下に埋めるわけでしょ?
・・・臭いまんまの状態で、人間の顔に近すぎるよ・・・臭い。。。臭すぎる(笑)
話を戻して・・・この6つの条件は
「基本・・・
加工してあるか、
糞尿別になっているか、
土で覆ってあるか」・・・って事ですよね?
では話を、先ほどの「人糞肥料を使うのも責め立てていた話」に戻しましょう!
《後進国でも高温発酵を伴わない人糞の使用は規制されています。
あなたのやっていることは、人類に対する犯罪である事を自覚して下さい。》
この回答者さんの返答は、嘘になっちゃいますよね?
「高温発酵させてなくても、別の方法もある」って書いてあるし。
「市街地でなければ、そのまま使っていい」とも書いてある。
次!
《人糞で育った食物を、知らずに食わされてるとしたら、汚いやら恐ろしいやらで、野菜なんて食えない》
・・・これは単にこの人の主観でしょうにwww
大丈夫、あんたの御先祖さんも、人類も、み~んな糞を使った肥料でできた立派な農作物を食って、栄えてきたんだ!
・・・別記事にも書きましたが、古代から文明に入るあたりの、人類の爆発的人口増加には、「農耕」「肥料」が不可欠であったことを、それぞれ別の視点で各国の有識者が認めています。
そして近代にいたるまで、それは「動物糞」とともに、「人糞」であったことも、最近わかってきましした。
今さら、汚がろうが、おっかながろうが、貴方様に流れてる血の成分は、その糞肥料から貰い受けた栄養満点の野菜からできてるようなもんです。
ちなみに、屎尿を処理して、ろ過した飲み水だって、知らずに飲んでるかもしれませんよ?
し尿処理場や下水道、自分の市町村にないなんてこと、日本ではまず、あるわけないですし。
次!
《昔は無知だから使っていただけ。
今は寄生虫や回虫があるから、人糞は使わないって知らないの?》
という回答。
無知なんかじゃないですよ!
農作物に屎尿や動物の糞を含む有機肥料を使うのをやめて、化学肥料を使うことは、畑をやせ衰えさせる事は、すでに報告されていましたよね?
いずれは農作物自体が育たなくなる可能性だってある。
それがわかっていて、せっせと化学肥料を使わせようとするどこかの組織に踊らされていてはマズイのでは?
私も勿論全てを知っているわけではありませんが、どちらにせよ、こちらの方には、状況と事実をじっくり調べてから書き込んでいただく必要がありそうですね・・・。
それに、近年になってよく効く化学肥料ができたからって、
「屎尿を捨てるだけ捨てるのは、ダイヤモンドを川に捨てるようなもの。
国家予算の3分の1を海に流しているようなもの」
との警鐘が、100年以上前から鳴らされているけど、屎尿を処理して飲み水に変えたり、肥料にし始めたのはつい最近。
世界も水問題や、食糧危機は、人類存続の為の根本的な課題のハズですが・・・
解決策を試行錯誤しはじめるのは、とにかく遅い人類!
更に、化学肥料を使い続ける事による、未来の被害の大きさにはまだまだ気が付いていない。
そもそも「汚物(クソ)か【魅惑の人糞】宝か」の記事にも書きましたが、まず「人糞だから寄生虫が居る」という概念から一度離れよう!
「人糞だから居る」のでもなければ
「(他の動物の)糞だから居る」わけでもない。
要は、
屎尿や糞が置いてある(保管してある)場所と、
どれくらいの期間置いてあったかによって、薬が効きもしなくなるような寄生虫が発生してしまう事が、わかってきている。
つまり、糞尿じゃなくても、他の類の肥料であっても大腸菌なども含めた寄生虫は発生してしまう。
更にもっと言うと、大腸菌大腸菌というけれど、大腸から(大便と一緒に)出てくるから大腸菌なのではない。
私達の自然な生活環境に、一番多く存在し、バロメーターとなる菌が「大腸菌」とひとくくりで言われているだけであって、すべてがすべて大腸から検出されるからではない。
話を戻そう!
この回答に上乗せしてきた、次の回答がコレ。
《そうそう、GHQに禁止された。
そんな昔に禁止されているのに、いまだに使ってるやつがいるとは》
これは調べてみたのですが、
GHQは、今まで小作人制度であった農地を、農家に分け与えるなどの農政は確かに行いましたが、「下肥を禁止した」という記述が見つかりませんでした。
ただし、こういった書き込みが数多く見られました↓↓↓
「マッカーサー元帥を始め、日本に駐屯したGHQ・・・総司令部(連合国最高司令官総司令部)を始め、米軍がサラダを食べていたところ、寄生虫に感染するものが続出し、激怒したマッカーさんwが「寄生虫が居るなんて不潔な国! 人糞肥料の使用を中止させろ」と日本政府に迫り、慌てた政府が「寄生虫予防会」を各市町村に作った。
そして人糞肥料から化学肥料への一大転換が行われた」
これは、それまで生で野菜を食べる習慣のなかった日本に、サラダが来て、寄生虫にびっくりって話ですが、まぁ日本人、本来生食用に野菜作ってなかったんだから、仕方ないね(笑)
それにすみません、「激怒したマッカーさんに、日本政府は慌てて対応し、注意喚起」みたいなことは書いてあるけど、「禁止した」とまで描いてある記述が見つかりませんでした。
しかしながら近年になって、先述の「屎尿の使用方法」で認めてあるということは、そのまま一直線に「アメリカ様」の話が、法律にはなることはなかったみたいですねw
最後!
《そもそも日本では、人糞の使用は禁止されているはずです。確か公衆衛生法だったかな。》
すみません、そんな事が書かれた「公衆衛生法」なるものも、ブタ子には見つける事ができませんでした。
もし存在するなら、先ほど出た「廃棄物の処理、および清掃に関する法律施行義務」の法律と、真反対なので、合いまみれることになってしまいますね・・・。
・・・最高裁ででも、戦ったほうがいい。
「結局どっちなんじゃい!」ってね!
では、2つめの「近所の爺さんが、臭いのに人糞を肥料にして困るから訴える」っていうオバサンの相談ごとは・・・
・・・こりゃ近所の爺さんも気を付けなければいけません。
先ほど調べた通り、「市街地だと、環境省令にある6つのうち、どれかの条件を満たしていなければ」人糞はそのまま使う事はできません。
更に、爺さんとこのおばさんが済んでいる場所が、いかに片田舎であろうとも、農家同士でも暗黙の了解で、マナーとして、
近所の方がいる時間帯はできるだけ避けて、下肥を施肥します。
(たとえば日曜の昼飯時とかは絶対ありえないわけですw)
『微生物資材を使った下肥の作り方』の記事にも書きましたが、そのおじいさんだって、なにも臭いまま作業して、屎尿を播かなくても、ホームセンターで、何百円かで、屎尿を変化させ肥料に変えることのできる微生物資材が買えるので、
「うんこ」とかではなくまったく別のものになり、匂いもしなくなった「人糞肥料」を、合法で使えるわけです。
近所の人にも迷惑かけなくて済みます。
つまり、一件落着です。
そして、タイトルに戻りますが・・・結局、人糞の肥料としての使用は、条件はありますが、禁止ではありませんでした。
もちろん、生の屎尿・糞肥料を使って育てた(まいたばかりの畑の)野菜を、生でバリバリ食べるのはオススメしませんが。
ブタ子が思うことは・・・
「情報に踊らされるな!
下肥を使うのを嫌ってもいい。
その代わり、何の肥料使うつもり?
化成肥料が何を招くか、気が付いてます?
何かの思惑だとか、政策ミスだとかに踊らされるな!」
・・・くらいでしょうか?
このサイトを立ち上げた時から、書き続けていますが、化成肥料や農薬を使う際は、ほんとによく考えて使いましょう。
何が起こるかは、今は証明されないのだから!
(あれって、なぜなのでしょうか? すぐに検索すらできないくらい、跡形もなくそういう発表って消されますよね?)
ずっとずっと未来になって、段々わかってくるだけなんだから。