気になる光景を見かけました。
『人糞肥料(下肥)の使用は、法律で禁止されている?!』の記事にも少し出てきましたが、ネット上でも、ひどく根拠のない理論で、みんなから責められている農家を見かけます。
「トイレのタンクから掻き出したばかりの屎尿をそのまま畑にまいて、近所迷惑になる」などの人糞肥料さわぎは、確かに匂いなどで近所の人に迷惑をかけるので、褒められたものではないですが・・・人糞だけに限らず、近年、農家とその仕事に関連する諍い(いさかい)が、多くなっている気がします。
今日は、農家でも、その他住人の立場でもない中間の視点から書かせていただきます。
(うちは農薬散布も、道路の占拠も必要ないのでw)
以下は、近頃どこでも見られる問題です。
【トラブル例1: 新住人との通行トラブル】
これは、田植え・稲刈り・収穫時期に特に多いトラブルです。
ほとんどの農地は、大都会にではなく、田舎に多いですね・・・自分の田畑の周りにも、また別の人の田畑があるという状況も多くあります。
そして昨今高齢化が進み、農家の方が年をとって、田畑の面倒を見れなくなったり、亡くなって誰もどうこうできない状態になった田畑も多くあり(耕作放棄地といいます)、必然的にそれと比例して、売られていく土地が増えてきました(悲。
売られた土地は、「市街化調整区域」でもない限り、さら地にされ、建物を建てる目的で買われていきます。
家やアパート、ショッピングセンターなどが建ちます。
すると、もちろん買われた区画には、どこからともなく新しい人達が引っ越してきます。
ところが問題はここからです。
売られた区画だけは民家やアパートでも、その周りはまだ農地なわけです。
その民家のまわりには、周りの農家が譲ってくれた道ができます。
(これは法律で、すべての家屋には、出入りする為の道を確保する権利がある為です。
周りの土地主は、道を作るために土地を譲ったり、通行料を貰って通らせたりする必要がでてきます)
そして田植えや刈り入れの繁忙期には、道端に軽トラックや耕運機が置かれ、みんな作業にいそしむわけです。
ところが、引っ越してきた人達はそんなことは知ったことではありません。
彼らの家の前の道にも、収穫用の荷物運び用の軽トラが路上駐車され、そこを通過したとしても、大きな耕運機や、たくさんの苗箱が道に沿って置かれています。
更に、田畑へ入ろうとする大きな田植え機が、道路からあぜ道へ、切り返しをしながら出たり入ったりする場合もあるでしょう。
そこで新住人達によって、農家さん達は
「何考えとんじゃ~!!!」
「邪魔になってるのがわかんないの?!」
とすごい怒号を浴びせられます。
・・・新住人達が引っ越してくるはるか前、家やアパートを建てる前に、農家さん達が話し合って、彼らが出入りできるように、みんなで土地を差し出し作ってやった道で、です(笑)
余談ですが、そんなあぜ道の周りなんてまだいいほうで、ショッピングセンターなんかに買われた農地に隣接する田畑はどうなってると思いますか?
・・・ショッピングセンターへの道、ただでさえ混むのに、土日ともなれば車も動かないくらいすごいです。
農家だって、土日になると会社が休みの息子夫婦や、子ども達が手伝ってくれたりします(ほほえましい!)
そこを耕運機で通ろうものなら、殺される勢いで、文句言われます。
もちろん耕運機は、ナンパープレートも取ってて合法的に走ってます。
必然的に、若い人の手がある土日はあきらめて、平日におじいさんが一人で一生懸命、耕運機を人の居ない時間帯に移動させ、作業します。
けれどもそれは、毎度のことなので、段々肩身も狭くなり、結局お隣の土地と同じ・・・土地を売ることになります。
理由は「作業がしにくくなってきた」ということだそうです。
・・・トラブルというより、悲しいかな、世の流れでしょうか。
【トラブル例2: 農薬散布のトラブル 】
そして次は農薬の散布です。
稲や麦の育成では、時期ごとに粉を霧状にした農薬の散布があります。
当たり前ですが、農薬は風に乗って飛びますので、あんまり周りをウロウロしない方がいいですが、昨今の問題はこれです。
散布の際、最近の農家さん達は、親切な方だと2日くらい前から、近所の家のポストに「○月○日 農薬を散布しますので、ご理解下さい」というような内容の書かれた紙を配り、窓を開けたりして換気をしている人、洗濯物を干す人や、布団を干す人に、お知らせをします。
口頭で一軒一軒言い歩く人も居ます。
ところが当日は、あらかじめ知らされていたにも関わらず、忘れていたのか、窓をあけたまま出かけ(知らせようにも留守・・・)、布団や赤ちゃんの服なんかも干しっぱなし・・・
そのまま散布してもいいのですが、後でクレームになっても問題だし、結局散布をあきらめる人もいます。
あらかじめ知らせておいてもこのザマですが、知らせてなくても、モメます。
散布をキャンセルしてもう一度別日に散布するとなると、あらかじめ窓を閉めて準備して下さってる方々などに、再度迷惑をかける事になりますので、最終的に強行突破となります。
■さてさて考察■
そうですね。
「道」として登録されてるところを、どんくさく走ったり、路駐したり、通行妨害しているんだものね、農家、めっちゃ悪い。
怒鳴れ怒鳴れ!
田畑に臭いのに、糞なんか播きやがって・・・いい迷惑なんだよ。
吠えろ、怒鳴れ。訴えろ。
・・・って、なりはしません(笑)
そもそも合法的に、耕運機を運転している老人を、混んでる道を低速度で走っていたという理由だけで、怒鳴る権利があるでしょうか?
■法律的なことなのかしら??■
ブタ子が思うに、こういうのはもはや法律云々ではないように思います。
言うべきことではないかもしれませんが、元から農地として、また「農」を生業として、ず~っとやってきた地域に、引っ越してきたのは誰でしょうか?
農家は、新しい住人が引っ越してきたからといって、にわかに昨日今日農作業を始めたわけではありません。
それこそ100年以上も昔からの田畑など、数多くあります。
それを「農地だと知らなかった」とはならないと思います。
そうね、作業中の路駐や、道の使用を禁じてしまったら、農家は立ち行かなくなるでしょうね。
そもそも新住人達が使ってる道、彼らが家から出てきやすいように、譲ってもらって道になったのではないでしょうか?
(土地建物法で、住人が出入りできるよう、周りの土地主は家からの道は確保してやる義務はありますが・・・)
田植えや、稲刈りの時期くらいさー、大目に見てやれよ?
日本から、いや、世界から豊穣を奪ったら、あんたら何食うつもりなのよ。
そもそも、いつもいつも邪魔してるわけじゃないだろ?
その時期に、腰を丸めて、一生懸命頑張ってるおじいちゃんおばあちゃん怒鳴りつけてどうするのでしょうか?
「公共の道路を占拠するのが悪い!」
「法律違反をしてるのは、農作業者のほうだろ!」
っていうのなら、その時期、警察に張ってもらったらどうでしょうか?
「見つけ次第、免許持ってる人からは切符切ってやって!」とか。
「持ってない人には、迷惑行為で注意してやって!」って言ってみたらどうでしょうか?
警察、来てくれると思う?
きっと捕まえ放題だけど、決して捕まえたりしないと思うよ?
屎尿肥料のことも、「汚い! 今の時代に、気は確かか」みたいな事仰いますけど、人類の人口爆発的増加には、「農作」「人畜屎尿肥料」は避けては通れない道でした。
つまりそれがなければ、私達はこの世に現れることすら無理だったといっても過言ではありません。
肥料の臭さにしてもそうです。
近隣に住宅があるのに、何の処理もせず、臭いまま施肥する農家も悪いですが、4,5時間もすれば消えてしまう匂いです。
週1くらいの頻度でされるわけでもありません。
多分、トイレの肥壺がいっぱいになったらくみ出すという頻度でしょう?
■お野菜のススメ■
今いちど、自分の所作を見つめ直す必要がある気がしてきます。
どうか、広い心を持って下さい。
農家に譲ってもらった道を使っているから、寛大になれと言っているわけではありません。
恩恵にあずかってるんだろ、って「おかげ信仰」みたいに恩着せがましく言うつもりもありません。
確かに臭いし、人様に迷惑かける時もあるけれどね・・・でもブタ子が思うに、人糞だけに限らず、農家とその作業に関連するいさかいが多くて、同じ人間として見てて情けなくなって来ない?
いえ、農家だとか、合法かそうでないか以前に、なんか人間としてせせこましく、心が小さくなってってる気がしませんか?
ブタ子の家も、すぐ隣に、近所迷惑お構いなしの名物の家があって、しょっちゅう屎尿を出したり入れたりと、飯時だろうが、団らんの土日だろうが、平気で作業される家があるからわかるのですが・・・
でも、怒鳴りつけたり、市役所に申し付けたりはしようとは思いません。
迷惑はお互い様!
悪意があるわけでもない。
イライラ怒っていても仕方ないですf^ ^
ちょっとくらい邪魔になったからって、一生懸命道端でがんばってるおじいさんやおばあさんを怒鳴ろうなんて思えない。
怒鳴らなきゃいけないことは、もっと他にあるだろう!
「寛大は美徳なり」・・・でも寛大になれとは言わない、せめて普通の心の広さを持ち合わせようじゃありませんか!
イライラしたり、短気になった時は、「はい・お野菜!」 です(笑)
いっぱい食べてれば、脳の血管も切れにくい!
血液サラサラ、心のわだかまりも、サラサラ解決です!!!