私達、有機肥料を愛用する者にとっては、ショッキングなニュースが流れてきました。
農協経由で、秋田県をはじめ、11県の農家に出荷されていた「大平物産(秋田市)」製の有機肥料に11月5日午後、成分の偽装表示が確認された。
6日になって取材に応じた太平物産の幹部:伊藤茂美常務は、自らがかつてその工場で工場長を務めており、少なくともその頃(3年前)には偽装を認識していたとしている。
「わかっていてもなかなか直せなくて、そういう風な形になってきたと思う」と述べている。
またそういった製造は、工場長の指示でなされていたことも報道されている。
秋田県を含む、全国の4工場で不正が常態化していたことも認めた。
偽装の理由については「製造過程で乾燥時にアンモニア臭などが発生し、近隣からの苦情対応を優先した」「製造工程を簡略化した」と述べているが、コスト削減のためであったのか、水盛りの為であったのかは述べられていない。
太平物産が製造した肥料は4万tで、JA全農はまだ使用されていない肥料を回収する予定。
発表によると太平物産が製造し、JAマーク入りで販売した肥料について、「肥料の成分の不足・記載していない原料を使用・有機原料の割合が不足・有機質ではない窒素を表示の2倍程含んでいた」ことがわかっている。
JA農連は、「その肥料を使って作られた野菜については、食べても安全であり、問題はない」としている。
■では何が問題なのか?■
それを使って作られた物を食べても、「安全」なんでしょ?
何が問題なの??
「有機(植物・動物性の有機物の中の肥料成分を含むものを原料にした)肥料」じゃなかっただけで、「貝殻なんかの無機(鉱物質、または動植物を焼いて得る無機質の)肥料」だったんじゃないの? と、思ってしまいますが、違います。
袋の表示よりも有機質の原料の割合を減らしたり、表示にはない原料を加えて作っていたということですが・・・その「減らされた部分」に補てんしたものは一体なんだったのでしょうか?
JA全農の調べによると、肥料の1つは、「動物の皮を蒸して使う原料が1.4%含まれているはずが、全く入っていない」等、有機質の原料の割合が本来よりおよそ1%少なかったという。
これを補うため、「硫酸アンモニア」という価格が比較的安い化学肥料を表示より増やしていた。
・・・もうブキミ以外、言いようがないですねー。
生産農家に影響が出るのは、実はその肥料を使って作った米や農産物に「有機農産物(化学肥料を使っていない農産物だけが表示できる)」や「特別栽培農産物(化学肥料や農薬の使用を通常の半分以下にしたものだけが表示できる)」と表示できなくなることです。
化学肥料や農薬を使わなかったから、他の田や作物以上に手間暇かけてつくっただろうに・・・そうなると価格の安い一般米として出荷せざるをえなくなります。
「あんたの過程は大変な部門だから、時給4000円にするので頑張ってよ」と言われ、他の人以上に苦労して、一所懸命やったら、仕事終了後に「こっちのミスで、時給は¥850になりました~★」と言われるのと一緒です。
・・・やれやれ。
農産物の付加価値を高めようと日夜がんばっている農家に対して、この仕打ちはないよねぇ~・・・。
ただでさえ、自然と闘ってんのにさ~・・・同じ人間様が、そんな事して、彼らの苦労を無にしちゃうんだもん・・・。
(農家にとっては、原発も同じよねー・・・)
担当者は「価格差は補填(ほてん)し、農家に影響が極力出ないようにしたい」と話しているが・・・「え? 何を?? 誰に? どうやって補てんすんの???」というところです。
またここから派生した問題として、日本郵便は、この肥料を使っていた一部の特別栽培米(『秋田県産の特別栽培米あきたこまち』)について、郵便局での販売を6日付けで停止したと発表。
今年の新米を注文した1万1538人に対し、別の商品を代わりに送るとしている。
太平物産は1948年創業。
東北、関東甲信地方でJAを中心に肥料を納入し、昨年は年商約65億円という。
おい、JAさんよ、そんなとこと今後に及んで取引するつもりじゃあるまいな?
一生懸命やってて出たミスと違うぞ? わかっててやってたんだぞ、その会社。
どういう調べ方をしてたか知らんが、結果、普段世話になってる営農家さんをこんな目に遭わせたんだからなー・・・。
大平物産さんよ、その年商を分割し、あんたんとこの有機肥料買って使ってくれてた農家さんの損害を計算し、一軒一軒に配って歩けよな!
彼らがどんだけ汗水たらして頑張ってたか、知らんとは言わせんぞ。